精密顕微鏡治療、診断及び治療の精度が大幅に上がります

 

根管治療(歯の神経の治療)や補綴(被せ物)歯周治療、様々な歯科治療の分野で精度の高い治療を可能とします

まず成功する治療の前提として、根管治療におけるラバーダムが重要です。
日本の抜髄の成功率が50%以下(2012年東京医科歯科大・須田教授調査)といわれているのに対し、
欧米では古くから90%以上成功しているとされています。

マイクロスコープ(顕微鏡)の治療方法

マイクロスコープを使った、コンポジットレジン(CR)充填

コンポジットレジンとは、主に初期から中期のむし歯の治療に用いられるプラスチックの”詰めもの”で、当日中に処置が完了します。

コンポジットレジンは使用しやすい反面、とても繊細な材料で詰め方によって結果に大きな差が出ます。マイクロスコープとラバーダムを用いて時間をかけ丁寧に詰めれば、素晴らしい適合性と美しさを兼ね備えた治療になります。大切なのは、コンポジットレジンを詰める前にむし歯の部分を可能な限り取ることです。健康な歯をできるだけ削ることなくむし歯の部分だけを削選択的に取る作業はマイクロスコープなしには難しく、特に神経が露出しそうな深いむし歯の場合は大きな差が出ます。

マイクロスコープを使った根管治療・歯内療法

根管とは、歯の中の神経(歯髄)が入っている管のことです。ここがむし歯で感染すると、残念ながら神経を取り除かなければなりません。ところが、神経は取ったものの肝心な感染が取れていない状況が頻発します。根管はとても狭く複雑に入り組んだ形をしていて、簡単に感染を取りきることが出来ないからです。根管中は肉眼で見ることができず、一般的にはレントゲンを参考にしながら”勘””経験”を頼りに手探りで治療を進めていきます。その場合取り残しが発生し感染源が残り、再治療になる場合が往々にしてあります。しかし、マイクロスコープで根管内を細かく観察することが可能になると、感染源の見落としをかなり減らすことができ、細部まで治療が出来るようになり、治療の成功率は飛躍的に向上します。また、根管治療はたいへん細かい器具を使うため、場合によっては器具が折れて歯の中に残ってしまうことがあります。通常、歯の中に残った器具の除去は不可能で、これまでは器具が折れてしまった場合、除去することができませんでした。しかし、マイクロスコープで確認しながら折れた器具に超音波振動を与えるといった方法により、破折した器具を除去できる場合も有ります。再治療の道が開かれることが多くなりました。

このように、マイクロスコープは根管治療において最も大きな効果を発揮することは明白であり、アメリカでは、根管治療を専門に行う歯科医師を教育する際、マイクロスコープの使用が必須となっています。

マイクロスコープを使った歯周治療

歯周病は歯の周りに細菌が感染し、歯周ポケットという溝をつくりながら歯を支える骨を徐々に溶かしていく病気です。成人の8割はかかっているといわれる国民病ですが、ほとんどの場合は放置されたまま悪化し、晩年に歯を失う大きな原因となっています。昔は歯石が原因といわれていましたが、現在では数種類の歯周病原菌がつくる”バイオフィルム”という頑固な薄い膜から染み出る毒素が原因ということが解っています。したがって、治療はこの膜をいかに除去して再発を防ぐかが鍵になります。ところが、この膜は非常に頑固で薬もほとんど効きません。治療は膜を機械的物理的に除去することが主体となりますが、歯周ポケットが深くなると正確に器具を入れることはできません。マイクロスコープを用いると器具を正確に入れることができるだけでなく、肉眼では見えなかった感染源を見つけて除去できるようになります。さらに、歯の根元が露出してしまった歯肉に別のところから採取した歯肉を移植し、根元をカバーする手術の精度も向上しました。

マイクロスコープを使った審美歯科

虫歯で歯の一部がなくなった場合、型取りをして口の外で人工物をつくり、セメントで歯に装着する治療が行われます。このときに大切なのは、歯をきれいに削り、細部まで正確に型取りすることです。特に歯肉の中まで精密に型取りをするは難しく、これが不完全だと虫歯の再発や歯肉炎を誘発しやすくなります。マイクロスコープを用いれば、今まで確認が難しかった削り具合の不備や型取り材の流し込み不良がより正確に判るようになり、最終的にでき上がる人工物の精度が飛躍的に向上します。結果として永く快適に使える審美補綴物を提供できるようになりました。

マイクロスコープを使ったインプラント

歯が完全になくなってしまった場合、チタン製の人工の歯を直接骨に植え付けるインプラントという治療が有力な選択肢となります。インプラントは骨の量や位置に問題がなく、内科的に健康な方であればたいへん信頼性の高い治療法であることが解っています。しかし、そのような条件が良い方ばかりとは限らず、手術にはたいへん細かい対応が必要です。特に前歯の場合はただ入っているだけではなく、見た目の美しさも重要です。そのため、インプラントを入れる位置を細かく規定したり、歯肉の位置をコントロールしなくてはなりません。マイクロスコープはこれらの細かい操作性を向上し、機能的で審美性に優れた美しいインプラント治療の大きな武器となります。

マイクロスコープを使った予防

顕微鏡(マイクロスコープ)を使うのは歯科医師だけではありません。患者さんに歯ブラシの話や歯のクリーニングをする歯科衛生士も使います。予防の第一歩は、まず患者さんの口の中がいかに汚れているかを見ることから始まります。顕微鏡(マイクロスコープ)に付いているビデオカメラにヘッドマウントディスプレイをつなげると、歯にプラークの付いている状態をリアルタイムに説明できます。歯ブラシの使い方やブラッシングのコツも”実況生中継”で見せることができます。また、歯のクリーニングの際も細かい汚れを効果的に落とすことが可能になり、その後のホワイトニングの効果も高まります。

マイクロスコープの治療期間と費用

一般に、マイクロスコープを使用すると治療時間が長くなる傾向があります。何故なら肉眼による治療では見落とされていたむし歯や被せ物の隙間など小さな病変や不具合が確認できるようになり、よりきめ細かい治療になるからです。逆にいえば「肉眼だけに頼った治療にはいかに精度が低いか」ということです。逆に、今まで原因不明の症状が、マイクロスコープを使ったことで明らかになる場合もあります。顕微鏡歯科治療の費用は所要時間やその技術的な難しさから健康保険外の自由診療になることが多くなります。しかし、ご自分の歯を末永く残す為の有効な手段となります。